地方自治法における「権利の放棄」

1.地方自治法における「権利の放棄」について

地方自治法上、議会の議決(権利の放棄)に関しては、下記の通り、定められています(96条1項10号)。

-地方自治法-
第九十六条  普通地方公共団体の議会は、次に掲げる事件を議決しなければならない。
十  法律若しくはこれに基づく政令又は条例に特別の定めがある場合を除くほか、権利を放棄すること

2.地方自治法における「権利の放棄」としての債権放棄

上記のように地方自治法96条1項10号があることから、地方公共団体が有する「債権」(公債権・私債権を問わず)について、まだ、その債権を行使できるのに、それを手放してしまう行為(=債権放棄)をするためには、議会の議決が必要ということになります。ただし、近年、多くの市町村で、あらかじめ「債権管理条例」が制定されています。こうした条例は、地方自治法96条1項10号の「条例」による「特別の定め」に該当し、個別の議決が不要となります。
つまり、あらかじめ条例で定めた類型(たとえば債務者に資力が無いとき等の場合)の場合、債権の放棄を行うにあたって議会の議決を不要とすることにより、債権管理を機動的に行いやすくしている例は、全国の地方公共団体で、多数、みうけられます。
もし、そうした条例が存在しない場合は、本来のルールにたちかえって債権放棄の議決が必要ということになります。

3.地方自治法における「権利の放棄」としての、職員の個人責任を追及することになった際の対応

これについては別のページで解説する予定です。