行政財産の使用承認と目的外使用許可の違い

1.公有財産の使用承認とは何か。

行政財産を本来の目的以外で使用される形態として、「目的外使用許可」以外に「使用承認」という仕組みが存在します。ただし、これについては、地方自治法に特に明文はありません。各地方公共団体の財産規則等に整理されているところです。したがって法律上の用語ではないと考えて下さい。たとえば、以下の例を見てみましょう。

-横浜市公有財産規則-
(公有財産の使用承認)
第12条 局長は、次のいずれかに該当する場合は、その所管に属する公有財産を、他の局公営企業管理者又は地方自治法(昭和22年法律第67号)第180条の5第1項若しくは第3項に規定する委員会(教育委員会を除く。)若しくは委員(以下この項において「局等」という。)に使用させることができる。同一局内において異なる会計に使用させる場合も、同様とする。
(1) 当該財産を使用しようとする局等の事務事業の遂行上、所管換の手続前に早急に使用させる必要があると認める場合
(2) 当該局等の事務事業の遂行上、臨時的に一定期間に限って使用させる必要がある場合
(3) その他特別の事由があると認める場合
2 第10条の規定は、前項の規定により公有財産を使用させる場合に準用する。

としています。

2.公有財産の使用承認の具体例はどのようなものか。

[行政財産の使用承認が使われるケース]とはどのようなものでしょうか。たとえば、文化ホールだった建物が、急に生活保護の関係の書類のための倉庫になるという典型的な例を考えてみましょう。この場合、その行政財産の本来の用途とは異なる用途(使い道)に使われることになります。そうであれば、通常は「所管換」がなされて、文化関係の部局の管理を離れて、「所管」を換えて、福祉関係の部局が管理するということ形になるのが通例です。横浜市公有財産規則の上記条文の第12条第1項第1号も、基本的には「所管換」が行われるべきであるが、それすら間に合わない「早急に使用させる必要」があると認められる場合、「使用承認」で対応させることを認めています。は臨時的、一時的な使用がこれにあたるようです。
[会計が異なる場合]行政財産の使用承認は、行政委員会に対して行うことも可能であるし、それだけでなく事業会計が異なることも可能とされています。典型例が、県立/市立病院事業や、上下水道事業等が考えられます。しかし、この場合には、基本として有償として整理されるべきと考えられています(横浜市公有財産規則第12条第2項の準用する第10条)。
広島市の外部監査では、病院事業等への無償の使用承認がなされていることについて、包括外部監査において、外部監査人が妥当ではないと指摘しています。