用途廃止の法的性質(処分性があるか、また財務会計上の行為といえるか)

1.「行政財産」から「普通財産」にする手続である用途廃止は処分性が有るか

「用途廃止」の手続は一般的には、処分性がないと考えられています。
保育園廃止条例の制定行為は、抗告訴訟の対象となる行政処分に当たる(横浜市立保育園廃止処分取消請求事件。最高裁H21.11.16)という、一応、関連しそうな判例が存在しますが、これは市民(利用者)への具体的影響があることを重視したものといえます。「用途廃止」は、そうした利用者への直接的な影響をもたらすものではなく、財産の管理としての内部的行為であることに異論を唱える人は少ないと思われます。

2.「行政財産」から「普通財産」にする手続である用途廃止は財務会計上の行為と言えるか

以下のような判例があります。すなわち、この裁判所の判断は、用途廃止について〔「公共施設の使用可能性」に関する措置・判断〕や〔「公共施設の行政内部における管理区分に関する措置・判断〕であるということを述べているものとになります(”公共施設の”という言葉は両方にかかります。)。

-裁判例(引用)-
そこで検討するに,本件用途廃止は,被告城陽市長が,被告城陽市の所有に属する本件土地建物について,公有財産として公共の用に供することをやめること,すなわち,行政財産(公共用財産)を普通財産とすることを決定するものであるが,これは,公共施設の使用可能性及び行政内部における管理区分上の分類に関する措置ないし判断であって,本件土地建物の不動産としての財産的価値に着目し,その価値の維持,保全を図る財務的処理を直接の目的とする財務会計上の財産管理行為には当たらないと解するのが相当である。