1.地方自治法では、条例で刑罰を設けることについてどのような定めがあるか
地方自治法では、条例で、刑罰の定めを設けることができるという定めがあります(14条3項)。これは各地方公共団体が条例を定めるて刑罰の規定を設けることができることを定めつつ、それぞれの刑ごとに上限があり、大きな刑罰はつくることが出来ない(いわば”天井”としての上限がある)ことを定めているのになります。
-地方自治法-
第十四条
3 普通地方公共団体は、法令に特別の定めがあるものを除くほか、その条例中に、条例に違反した者に対し、二年以下の懲役若しくは禁錮、百万円以下の罰金、拘留、科料若しくは没収の刑又は五万円以下の過料を科する旨の規定を設けることができる。
2.条例で刑罰を設ける場合の上限について
上記のとおり、条例で刑罰を新設する場合、その上限が決まっていることに注意が必要です。その時、上記に引用した地方自治法の規定は、刑法と照らし合わせて読む必要があります。
[刑罰について]
・有期懲役/有期禁錮は、刑法上1月以上というように下限が決まっていることから、1月←→2年の範囲内となります。
・罰金は、刑法上1万円以上というように下限が決まっていることから、1万円←→100万円の範囲内となります。
・拘留は1日以上30日未満、科料は1000円以上1万円未満ということがいずれも刑法上定められています。
[刑罰ではないものについて]
・「過料」は、そもそも、刑罰ではない、という点に留意が必要です。
3.条例で刑罰を設ける場合と罪刑法定主義
刑罰規定の中には、迷惑行為防止条例のように(ほぼ)全県で同様の内容の条例が存在しているものがあります。
他方で、暴走族追放条例のように、特にある県のみに作られるものもあります。
いずれの場合であっても、条例で刑罰に関する規定を設けるときは、罪刑法定主義(wikipedia)の観点から、特に、どのような行為が刑罰の対象になるのか明確であることが求められ(=明確性の原則)ています。そうした意味で、事前の検察官と協議するといったことがあるそうです。
4.独自条例-明石市の例-
最近では「明石市水上オートバイ等の安全な利用の促進に関する条例」といったような条例も話題になりました。この条例は、遊泳者安全区域というエリアを定め、そこで水上オートバイにより危険行為を行った者に刑罰を課すというものです。