条例・規則の公布手続の漏れ

1.条例・規則はもちろん公布が必要です。

議会の議決により、条例を制定した場合や、改正・廃止した場合は「公布」が必要になります。

-地方自治法-
第16条 普通地方公共団体の議会の議長は、条例の制定又は改廃の議決があつたときは、その日から三日以内にこれを当該普通地方公共団体の長に送付しなければならない。
2 普通地方公共団体の長は、前項の規定により条例の送付を受けた場合は、その日から二十日以内にこれを公布しなければならない。ただし、再議その他の措置を講じた場合は、この限りでない。
3 条例は、条例に特別の定があるものを除く外、公布の日から起算して十日を経過した日から、これを施行する。
4 当該普通地方公共団体の長の署名、施行期日の特例その他条例の公布に関し必要な事項は、条例でこれを定めなければならない。

公布の手続きは、一般に、公告式条例で定められています。たとえば、東京都の場合、「条例の公布は、東京都公報に登載してこれを行う。」という形で定められています(東京都公告式条例)。これに対し、世田谷区の場合「条例の公布は、区役所の門前掲示場に掲示して、これを行う。」と定められています(世田谷区公告式条例)。このように紙媒体として、公報が発行されているかどうかを含め、唯一の正解はありません。
地方公共団体自治体ごとに「公布」の方法は異なっているのです。

2.条例・規則の公布が出来ていなかった場合

「岩手県大槌町が、条例や規則の公布を1年半にわたり怠っていたことがわかった。町は未公布で、効力のない条例に基づき税金などを徴収。公布前の額に戻すと手続きが煩雑になり行政運営に支障が生じるとして、町議会に対し適切に公布していたものとして扱うよう求めている。」(朝日新聞2022年2月11日)というニュースが話題になりました。この件は、最終的にどのように取り扱われたのかは、フォローできていませんが、少人数の町村では、条例・規則についての基本的な作法が、いい加減になってしまいそうなことの一例といえましょう。