賠償命令(現金の亡失その他に関する職員の賠償責任)

1.地方自治法における「職員の賠償責任」について

地方自治法では「職員の賠償責任」について、下記の通り、定められています(243条の2)。

-地方自治法-
(職員の賠償責任)
第二百四十三条の二  会計管理者若しくは会計管理者の事務を補助する職員、資金前渡を受けた職員、占有動産を保管している職員又は物品を使用している職員が故意又は重大な過失(現金については、故意又は過失)により、その保管に係る現金、有価証券、物品(基金に属する動産を含む。)若しくは占有動産又はその使用に係る物品を亡失し、又は損傷したときは、これによつて生じた損害を賠償しなければならない。(以下略)

2.地方自治法における「職員の賠償責任」の整理

職員はさまざまな形で、公金その他の財産を「保管」し、あるいは物品を使用することがあると思いますが、このうち、次のような形で、責任のある職員は賠償責任を負うこととされています。

《保管に係る》
○ 現金    = 故意or過失
○ 有価証券 = 故意or重過失
○ 物品    = 故意or重過失
○ 占有動産 = 故意or重過失
《使用に係る》
○ 物品    = 故意or重過失

このように、「現金」と「それ以外の物」で扱いが異なっています。

3.地方自治法における職員への「賠償命令」が行政処分であることについて

賠償命令は、「期限を定めて賠償を命じる」という形で職員に対する行政処分として行われます。手続としては、同条第3項に規定があり、まずは市長は監査委員に対し➀事実があるかどうかの監査と賠償責任及び賠償額を決定することを求めます。そして、その決定に基づき、命令がなされます。それに不服のある職員は地方自治法に基づき不服申立て(審査請求)を行うか、または行政訴訟を行うことになります。