自動販売機設置のための目的外使用許可と競争原理

1.競争原理を取り入れた目的外使用許可のあり方

目的外使用許可は、条例で定めた使用料(地方自治法225条、228条)を徴収するとされています。そうすると、条例には、使用量の価格の計算方法が明記されて、誰からどのような使用許可申請があったとしても、同額を徴収するのが普通のあり方といえます。
そうはいっても、目的外使用許可は行政が保有している財産の一部を、特定の私人が使用することを認めることであるため、本来的には、競争原理が働いて、当該地方公共団体の歳入が増加することが、市民の利益にも叶うところです。
一般的に、地方公共団体が私人に土地を貸付ける時は、契約(民々間同様の法律関係としての賃貸借契約)として、最もお金をはらってくれそうなところに「高けければ高いほど」という原理を素直に適用することができます。これに対して、目的外使用許可では、「条例」で定められた使用料を徴収することになりますので、競争原理が働かずに、機械的に計算した使用料を徴収するのが原則なのかな…となります。近年、自動販売機の設置については、業者を公募し、複数の業者を競争させて、入札などの形で行う例が増えているようです。具体的には、(1)建物価値等と使用面積に応じて決定する「従来型使用料方式」だけでなく、(2)設置希望者による競争で決定する「競争型使用料方式」、(3)従来型契約と販売契約等の併用方式などがあるとされています (上記分類は、奈良県監査委員監査結果平成23年2月25日による)。

2.競争原理を取り入れた目的外使用許可の使用料の徴収のあり方(京都府の例)

京都府の場合、下記のように「入札方式」で「使用料」自体が決まることを条例に明記する方法が取られています。この方法は、珍しいものと思われます。

(使用料)
第2条 行政財産の使用の許可を受けた者(以下「使用者」という。)は、別表に掲げる額の範囲内において知事が定める額の使用料を納入しなければならない。ただし、一般競争入札または指名競争入札に付して使用を許可する場合の使用料の額は、当該入札の落札金額とする。

3.競争原理を取り入れた目的外使用許可の使用料の徴収のあり方(京都府の例)

横浜市の場合
<条例> 行政財産の用途または目的外使用に係る使用料に関する条例
<規則> 横浜市公有財産規則
<要綱> 横浜市行政財産の目的外使用許可の使用者の決定及び使用許可の取消しに関する要綱
といった構造で仕組みが決められています。この場合、条例・規則で機械的に定まっているという制度の枠内で、別途、「使用料」以外のお金を徴収するという工夫が行われています。すなわち、〔目的外使用料〕+〔売上手数料(売上に比例)〕という方式が用いられ、この売上手数料(及びその他の工夫)については各業者に提案させ、そこで競争させるという方式が採用されているようです


8.目的外使用料
目的外使用料は、以下のとおりとする。ただし、設置期間中に使用料が改定された場合は、改訂後の金額を適用する。
(1) 不特定多数の区民や職員が利用する施設(区庁舎、地区センター等)
建物内1台1月あたり 3,100 円、建物外1台1月あたり 900 円
(2) 公園を除く上記以外の利用者が限定される施設(地域ケアプラザ等)
建物内1台1月あたり 1,600 円、建物外1台1月あたり 700 円
(3) 公園
1平方メートル1月につき建物内 744 円、建物外 160 円(ただし、1平方メートル未満のとき、またはその面積に1平方メートル未満の端数があるときは、その面積または端数面積を1平方メートルとして計算する)
9 電気料
次の計算式による実費相当の負担とする。
※ 計算式は、月額負担額=自販機消費電力量(A)×稼働率(B)×電気料金単価(C)×24 時間×30 日×消費税加算(1.05)とし、100 円未満の端数を切り上げるものとする。
(A)は自販機仕様書にある最も高い数値、(B)は年平均稼働率 35%、(C)は各施設の電力供給会社との契約単価(前年度平均単価)とする。
10 売上手数料
売上手数料は、各施設の自動販売機に係る毎月の売上の総合計額に、手数料率を乗じたものとする。
なお、指定管理施設の売上手数料については、甲と指定管理者で按分することとし、その割合については、甲乙および指定管理者で別途協議する。