調定の取消し・更正

1.一度「調定」を行った後、それを取り消したり、更正したりすることができるか。

地方自治法(及び地方自治法施行令)には、調定の取消し・更正に関する規定はありません。
では、一度「調定」を行った後、取り消したり、数字などを直すことができるのでしょうか。基本に立ち返って考えて見ましょう。「調定」は、自治体がいま有している債権の額や内容を正確に把握するべき仕組みです。したがって、それが間違っていれば、数字を直したり、消したりするのは当たり前であり、むしろ、常に正しいものにしておくべきということになります。
そのため、調定の取消し・更正については、各都道府県・市町村における「規則」において定めるべき事項といえますが、明文上の定めがなくても、法の一般原則に基づいて、事務処理を行うことができるはずの事項ということになります。規則で定めていないからといって、何も出来ないということはないでしょう。

2.「調定」の取消し・更正に関する横浜市の例

たとえば、横浜市予算、決算及び金銭会計規則は、以下のとおり定められています。

(調定の取消し、更正)
第87条 局長は、第85条により調定した事項に誤りがあることを発見したときは、同条に準じて調査決定し、直ちに、調定の取消しまたは更正をしなければならない。法令の規定その他特別の理由により収入金額を変更しなければならない場合も、また同様とする。
2 局長は、調定の取消し又は更正をしたときは、直ちに、調定通知の取消し又は更正の手続をし、調定決裁簿兼調定通知書により所管会計管理者等に通知しなければならない。
3 前2項の規定は、前条第3項の調定決裁簿兼調定通知書の内容に誤りがあることを発見したときについて準用する。

これは、いったん「調定」を行った後、事後処理として、取消し・更正を行うことを制度として定めている規則の例になります。この規則においては「調定した事項に誤りがあることを発見したとき」と「法令その他特別の理由により収入金額を変更しなければならない場合」という2パターンが想定されています。なお、典型的な例としては、調定を二重に行ってしまった場合の取消や、相手方の氏名や予算科目及び目節の区分を誤ってしまった場合の更正などが考えられます。