1.地方自治法の内部統制の整備義務の規定
以下が、地方自治法改正(案)のうち、内部統制に関する部分の前半です。まず、大きな枠組みとして、[都道府県+政令指定都市]のことは第1項として「整備しなければならない」という規定になっており、法的義務として定められていることが分かります。[それ以外の市町村]のことは第2項として「整備するよう努めなければならない」として、いわゆる努力義務という区分になっています。
-地方自治法-
第百五十条 都道府県知事及び第252条の19第1項に規定する指定都市(以下この条において「指定都市」という。)の市長は、その担任する事務のうち次に掲げるものの管理及び執行が法令に適合し、かつ、適正に行われることを確保するための方針を定め、及びこれに基づき必要な体制を整備しなければならない。
一 財務に関する事務その他総務省令で定める事務
二 前号に掲げるもののほか、その管理及び執行が法令に適合し、かつ、適正に行われることを特に確保する必要がある事務として当該都道府県知事又は指定都市の市長が認めるもの
2 市町村長(指定都市の市長を除く。第二号及び第四項において同じ。)は、その担任する事務のうち次に掲げるものの管理及び執行が法令に適合し、かつ、適正に行われることを確保するための方針を定め、及びこれに基づき必要な体制を整備するよう努めなければならない。
一 前項第一号に掲げる事務
二 前号に掲げるもののほか、その管理及び執行が法令に適合し、かつ、適正に行われることを特に確保する必要がある事務として当該市町村長が認めるもの
2.地方自治法の内部統制の整備義務の規定
次に、各自治体の義務としては、「方針」を「定める」義務だけが定められているのではなく、それに基づいて「必要な体制を整備する義務」が規定されていることがわかります。これにより、方針は定められていたけれど、実施には組織作りが進んでいなかった場合には、首長としての義務の懈怠として扱われることになりましょう。
3.総務省令の定め
最後に、これらの内部統制に関する事項は、総務省令で定めるとされています。
上記では省略しましたが、第3項では策定した内部統制に関する方針の公表を、第4項では毎年度ごとの評価報告書の作成を、第5項ではそれを監査委員が審査することを、第6項では監査委員の審査後に議会に提出されることが、それぞれ記載されています。
地方自治法における内部統制の概念として、「法令に適合し、かつ、適正に行われること」という概念が用いられていることにも注目です。