目次
1.PFIの事業契約を締結するには予め議会の議決が必要であることについて
地方自治法ではなく、個別法によって議会の議決を要することが定められている立法例は旧来から何個かあるところです(たとえば道路法による道路認定)。
新しい例では、PFI法(民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律)を挙げることができます。PFI法第12条は、次のように定め、一定規模以上のPFI契約の締結につき、議会の議決を必要としています。
(地方公共団体の議会の議決)
第十二条 地方公共団体は、事業契約でその種類及び金額について政令で定める基準に該当するものを締結する場合には、あらかじめ、議会の議決を経なければならない。
2.PFIの事業契約で議決が必要なのは、契約金額がいくらのときか
PFI法の委任を受けた政令(民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律施行令)では、以下のように定められており、都道府県では5億円、指定都市では3億円が基準ラインとなります。
(地方公共団体の議会の議決を要する事業契約)
第三条 法第十二条に規定する政令で定める基準は、事業契約の種類については、次の表の上欄に定めるものとし、その金額については、その予定価格の金額(借入れにあっては、予定賃借料の総額)が同表下欄に定める金額を下らないこととする。
法第二条第五項に規定する選定事業者が建設する同条第一項に規定する公共施設等(地方公共団体の経営する企業で地方公営企業法(昭和二十七年法律第二百九十二号)第四十条第一項の規定の適用があるものの業務に関するものを除く。)の買入れ又は借入れ 千円 都道府県 五〇〇、〇〇〇 地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項に規定する指定都市(以下この表において「指定都市」という。) 三〇〇、〇〇〇 市(指定都市を除く。) 一五〇、〇〇〇 町村 五〇、〇〇〇
3.PFIの事業契約を締結するには予め議会の議決が必要であることについて
議決の例としては、福岡市議会の例を見てみましょう。福岡市では福岡市総合体育館整備運営事業において議決が行われています。
議案第25号 福岡市総合体育館整備運営事業に係る契約の締結について 上記の議案を提出する。 平成28年2月18日 福岡市長 髙 島 宗 一 郎 理由 本件は,福岡市総合体育館の整備並びに維持管理及び運営を効率的かつ効果的に実施するため,民間の資金等を活用して福岡市総合体育館整備運営事業を行うものであるが,その予定価格が3億円以上であるので,民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律第12条の規定により議会の議決を求めるものである。 福岡市総合体育館整備運営事業に係る契約の締結について 福岡市総合体育館整備運営事業に係る契約を次のように締結する。 1 契約の相手方 福岡市中央区×××三丁目×番×号 福岡××▲▲▲▲株式会社 2 契約の目的 福岡市総合体育館整備運営事業 福岡市総合体育館の施設整備,開業準備並びに運営及び維持管理に関する業務 3 契約価額 148, 196, 72, 37円。ただし,需要,物価又は金利の変動等により増減が生じることがある。 4 履行場所 福岡市東区香椎照葉六丁目26番4,26番28及び27番19 5 履行期間 平成46年3月31日まで |
なお、平成28年2月18日付の議案第21号で指定管理者を平成46年3月31日まで同社にする議決が同時に提案されています。