1.大阪高等裁判所平成27年10月13日の判決
大阪高等裁判所平成27年10月13日の判決は、校長が、目的外使用許可申請(教育研究集会に利用するケース)について、裁量判断について、以下のような枠組みを示しています。
両校長の裁量判断は,許可申請に係る使用の日時,場所,目的及び態様,使用者の範囲,使用の必要性の程度,許可をするにあたっての支障又は許可をした場合の弊害若しくは影響の内容及び程度,代替施設確保の困難性など許可をしないことによる申請者側の不都合又は影響の内容及び程度等のほか,学校施設の目的外使用が適正かつ健全な労使関係を阻害する便宜供与に当たるかどうか等の諸般の事情を総合考慮してされることになると解するのが相当である。
2.この判例の示す判断要素
判断要素を大きく分けると、
・許可申請に係る使用の日時、場所、目的及び態様
・使用者の範囲
・使用の必要性の程度
・(許可をするにあたっての支障)/(許可をした場合の弊害若しくは影響) の内容及び程度
・代替施設の確保の困難性など許可をしないことによる申請者側の不都合又は影響の内容及び程度等
・学校施設の目的外使用が適正かつ健全な労使関係を阻害する便宜供与に当たるかどうか
等の『総合考慮』になるとされています。
3.行政側が敗訴した事例であること
この事件では、大阪市側の主張は排斥されています(労働組合等の組合活動に関する便宜供与に該当すれば,他の諸事情を一切考慮することなく,本件各小学校の目的外使用を不許可とすべきであったということはできない。)。したがって、行政側においては、個別事例ごとに丁寧に検討を行うよう求めたものになっています。
このケースは大阪市条例で、労働組合への便宜供与に関する特殊な規定が設けられたことに起因するものです。しかし、そうした規定のない他の地方公共団体においても、職員団体が行おうとする集会であればすべてそれが便宜供与に該当するかというような乱暴な議論にストップがかかったことは明確であると思われます(なお、当該裁判例では、各学校長ないし各校園長の「過失」は否定されています。)。