長期間の目的外使用許可(ソーラーパネルなど)

1.行政財産の目的外使用許可の「許可する期間」について

行政財産の目的外使用許可は、長らく、比較的短期の期間しか許可を出してはいけないというように理解されてきました。したがって、一回の許可行為で長期間の許可を行うとしても、それは無理であるという考え方があったようです。
たとえば、東京都は「行政財産の使用許可の取扱いについて」という通知文において「行政財産の使用を許可する期間は、原則として1年以内としなければならないものであるが、電柱、電線、上下水管、地下ケーブル、電話ボツクス、防火貯水槽等その使用目的からみて使用期間がある程度長期にわたることが予想されるものについては、実情に応じて1年を超えて許可することができるものであること。この場合においても、その内容に応じ、3年、5年又は10年以内の期間を限つて許可するものであること。」とされています。
地方自治法をどう読んでも「原則1年」などという数字は出てこないため、法律の明文に由来する制約ではないのですが、目的外使用許可の制度趣旨に照らして、各自治体が(法律上の成約ではない形で)自主的にそのように運用していたということになります。端的に言えば、行政財産を長い期間にわたって貸し渡すことは”好ましくない”というような視点とでもいえましょうか。

2.ソーラーパネルをつける場合、行政財産の目的外使用許可の「許可する期間」はどうするか

総務省は、平成25年6月26日付で「自治行政局行政課長」の名で、「行政財産の目的外使用許可について」と題する文書を発しています。ここでは、具体的事例により個別に判断するというキーワードが強調されています。

行政財産は、公用又は公共用に供する財産であることから、地方自治法第238条の4(昭和22年法律第67号)第1項において私権の設定が制限されていますが、同法第238条の4第7項において、当該財産の用途又は目的を妨げない限度においてその使用を許可することができることとされております。
この許可期間については、将来当該財産を本来の目的に使用したとき、直ちに原状回復又は使用関係の是正が困難となり、ひいては行政財産の本来の用途又は目的を妨げる結果ともなるような長期継続的使用の許可ができないものである(昭和38年9月10日付自治事務次官通知)とされていますが、どのような場合が、用途又は目的を妨げない限度であるかは、具体的事例により個別的に判断することとされています(同通知)。
このことを踏まえ、太陽光発電用のソーラーパネルを設置するため行政財産である庁舎等の屋根の使用を許可することについては、建物の構造や耐震性、耐用年数等態様上の問題がなく、将来にわたって屋根を公用又は公共用に使用する予定がない場合には、適切な期間設定による長期継続的使用の許可をすることも可能であると考えられます。これは行政財産の本来の用途又は目的が阻害されない限り、行政財産の効率的利用の見地から、その用途又は目的以外の使用を認めることとした制度の趣旨に沿うものです。
貴職におかれては、行政財産の目的外使用許可が適切に運用されるよう、十分留意いただくとともに、貴都道府県内の指定都市を除く市町村に対してもこの旨周知をお願いします。 なお、本通知は、同法第245条の4第1項に基づく技術的助言であることを申し添えます。

ソーラーパネルの場合は、屋根に設置される(だけ)という特殊性があります。そのため、庁舎等の行政財産の通常の用途を妨げるということが考えがたいため、かなり長めの期間の許可を出しても構わないということが示されているものと思えます。