1.教育委員会の管理する行政財産の「用途廃止」
地方自治法上、教育委員会の管理する行政財産の用途廃止についてみてみましょう。これに関しては、下記の通り、定められています(238条)
-地方自治法-
第二百三十八条の二
(略)
3 普通地方公共団体の委員会若しくは委員又はこれらの管理に属する機関で権限を有するものは、その管理に属する行政財産の用途を廃止したときは、直ちにこれを当該普通地方公共団体の長に引き継がなければならない。
典型的な例でいえば、学校を立てる予定だった土地として教育委員会が管理していたものの、結局、学校を立てなくなった場合などが想定できます。
2.教育委員会の管理する行政財産の「用途廃止」に関する制度の趣旨
この制度趣旨は、行政委員会側で特定の行政目的に使われなくなった財産である以上、市長部局に「引き継ぎ」を行い、長の側で集約して管理するという原則が示されたたものです。
これについて、北九州市の包括外部監査(平成27年度)は「教育財産としての用途がなくなった資産を、管理・処分が規制される行政財産として保有することは、今後の円滑な有効活用や処分を妨げる可能性がある。また、土地に関する専門的な経験・知識の蓄積がない教育委員会が長期にわたって個別に管理を続けることは、全庁的な利活用を検討するうえでも望ましくない。 」と指摘しています。たしかに、各県庁/各市役所には「財産活用推進課」「管財課」といった財産管理を専門にする課があることから、早期に普通財産にすることにより、一元的な管理・有効活用が実現できるのは上記監査の指摘のとおりと思われます。
教育委員会に限られないのですが、さまざまな行政委員会がその事務のために行政財産を有している場合、当該委員会が管理権限を有していますが、その用途廃止を的確に行うことが重要で、その上で、市長部局側に財産を引き継ぐことになります。