1.指定管理者制度における利用料金制
地方自治法上、指定管理者制度における利用料金制に関しては、下記の通り、定められています(244条の2)。
-地方自治法-
第二百四十四条の二
(略)
8 普通地方公共団体は、適当と認めるときは、指定管理者にその管理する公の施設の利用に係る料金(次項において「利用料金」という。)を当該指定管理者の収入として収受させることができる。
9 前項の場合における利用料金は、公益上必要があると認める場合を除くほか、条例の定めるところにより、指定管理者が定めるものとする。この場合において、指定管理者は、あらかじめ当該利用料金について当該普通地方公共団体の承認を受けなければならない。
利用料金制度を採用しない形で、指定管理者制度を導入することも、もちろんあります。この場合、当該施設の利用者は、利用に際して「使用料」を支払うことになり(法225条)、その使用料は地方公共団体に帰属します(債権債務関係が、市と利用者との間に成立する、と説明できます)。そうしたとき、指定管理者にとっては、施設の利用件数が増加しようとも、直接的に、指定管理者自体が増収になることはないし、利用件数が減少しようとも、直接的に指定管理者自体が減収になることはないことになります。“雇われ店長”は、いくらお客が増えるように頑張ったところで、同じ給料のままという比喩が分かりやすいと思います(もちろん、様々な経費をどのように節約するかで、黒字か赤字かが変わってくるわけですが)。
これに対して、利用料金制度を採用する場合、当該施設の利用者は、利用に際して「利用料金」を支払うことになります。この「利用料金」は、いわば、売上として当該指定管理者に直接に帰属し、地方公共団体の歳入にはならない形になります。したがって指定管理者にとっては、積極的に利用促進のアイディアをひねって、利用者が増加し、利用件数が増加した場合には、端的な増収に結びつくことになります。
2.指定管理者制度における利用料金についての条例の定め
この利用料金については、地方自治法244条の2第9項の通り、指定管理者が好き勝手に定めることができるわけではなく、条例では上限を定める形になります。
つまり、(原則型)は、条例で定められた上限の枠内で、指定管理者が利用料金の体系を作成し、あらかじめ、地方公共団体の長などがそれを承認するというモデルになっています。具体的には、夜間の利用は割増しをしたい、休日の利用は割引をしたいなど、実際に管理をこれから行うものが、民間の発想で柔軟な利用体系を提案することが考えられます。これに対し、(例外型)は、「公益上の必要」という観点が認められるとき、指定管理者に提案の権利を認めず、条例自体で料金体系を決定し、それにしばられる形で指定管理者は増収努力をするという形になります。
原則型の場合、条例では「利用料金は、別表・・・に定める額の範囲内において、指定管理者が市長の承認を得て定めるものとする。」というような定め方が多いですね。