指定管理者が行う修繕工事のあり方

1.地方公共団体と指定管理者との間における「修繕」の費用分担のあり方

地方公共団体と指定管理者の間では「基本協定書」が締結されてることが多いです。平たい言葉でいうと、地方公共団体と指定管理者との間の、様々な分担関係が明示され、”管理運営”業務の全体像が整理されるのが「基本協定書」になります。こうした基本協定書で、施設の「修繕業務」についての分担関係も明示されます。
具体的には施設の修繕について「○○万円」以上のものについては県(市)負担で、それ未満のものについては指定管理者負担というような関係を取り決めているような例も広く見受けられます。
しかし、このような決め方を行った場合、意図的な「分割発注」という形で、指定管理者側に工事を押しつけることができてしまいます。たとえば、実体としては100万円以上の修繕工事であるにもかかわらず、たとえば50万円の工事と60万円の工事が1つずつであるかのようにすれば、指定管理者がすべき工事だ!、という「押しつけ」が成り立つことになりかねません。

2.地方公共団体と指定管理者との間の「修繕」の分割発注が実際に問題となった事例

下記は、平成27年度の包括外部監査の指摘です。

平成 26 年度のA財団発注の工事のうち、図表2-2-17 の各業者の各修繕工事は、一括発注が可能であり、その場合、工事費用は 100 万円以上となるため、基本協定書の規定によって、本来は、県の負担となる
(基本協定書第 34 条第3項(100 万円以上のもの))。
しかし、実際には、各工事を分割発注することにより、各工事費用は100 万円未満となり、A財団の負担となっている(同(100 万円未満の小規模のもの))。一括発注が可能である修繕工事を分割発注して工事費用を 100 万円未満にした上で、基本協定書第 34 条第3項の規定にあてはめて、本来、県が負担すべき工事費用を芸術財団が負担することは、上記規定が施設修繕に係る費用の負担区分を定めた趣旨を没却する。施設修繕に係る費用の負担が基本協定書第 34 条第3項に従って正確に区分されていないと言わざるをえない。