1.地方自治法における「手数料」
地方自治法上、手数料に関しては、下記の通り、定められています(225条)。
第二百二十七条 普通地方公共団体は、当該普通地方公共団体の事務で特定の者のためにするものにつき、手数料を徴収することができる。
手数料については条例に定めを置く必要があり(法228条1項)、また「徴収に関すること」は議会の議決が必要です(法96条4項)。なお、住民には使用料に関する条例については制定・改廃を求める権利はありません(法12条1項)。
一般的には、○○市手数料条例という形で条例が設けられています。
2.地方公共団体の手数料の標準に関する政令
全国のどこの地方自治体でも行われるような事務に関する「手数料」については、政令で定める金額の手数料を徴収することを標準として、条例を定めなければならない、というルールになっています。要は、国は「お仕着せ」で一律の金額を定めるわけではないが、これを標準として各地方自治体ごとに料金設定をしてくださいということでしょう(地方自治法228条)。
具体的には、地方公共団体の手数料の標準に関する政令に規定されています(戸籍事務に関しては規定があり、住民基本台帳(住民票)の事務に関しては規定がないというような形になっています)。
3.地方自治法上の「手数料」の債権管理
手数料は、公債権に該当し、いわゆる非強制徴収公債権となります。一般的に、住民票の写しをほしい人に、その時に同時履行関係で対価としての手数料を徴収するといいったことが多いですから、債権回収上問題になることは少ない(未収金問題は発生することが少ない)と思われます。
4.地方自治法上の「手数料」と消費税の関係
手数料は、国、地方公共団体、公共法人、公益法人等が法令に基づいて行う一定の事務に係る役務の提供で、法令に基づいて徴収される手数料として消費税が非課税とされています。
5.地方自治法の手数料の「減免」はどうあるべきか
-地方自治法-
(分担金等に関する規制及び罰則)
第二百二十八条 分担金、使用料、加入金及び手数料に関する事項については、条例でこれを定めなければならない。
とされており、地方自治法ではこれ以上具体的な規定はおかれていません。ここで「手数料」に関する事項とは、市民から徴収する手数料の”値段”と、減免するとすれば、どのような場合に減額・免除するのかという点も含まれ、それらが条例事項になります。
6.地方自治法の手数料の「減免」についての各市の条例の例
多くの市町村では「手数料条例」という名の条例を置いて、「手数料」に関する事項を網羅的に整理したり、あるいは各個別の条例に手数料の規定を置いたりしています。
手数料の減免については、下記のように、かなり裁量の余地が高いかのように見える減免規定が存在するのが一般的です(下記は、横浜市手数料条例の例です)。しかし、このような条例は、役所の縦割り主義の中で、ややもすすると、所管課それぞれの判断という名のもとに「免除することが適当であると認めたとき」といった規定へのあてはめが恣意的になりがちです。
-横浜市手数料条例-
(減免)
第6条 次のいずれかに該当する場合には、第2条に規定する手数料の全部又は一部を免除することができる。
(1) 法令の規定により無料で取り扱うことができるとされているとき。
(2) 国又は他の地方公共団体から事務上の必要により請求があったとき。
(3) 市長又は区長が、手数料を納める資力がないと認める者から申請又は請求があったとき。
(4) 市長又は区長が、手数料の全部又は一部を免除することが適当であると認めたとき。
たとえば別府市平成24年度監査などは「各課における減免適用の判断が不統一であり、結果的に減免制度の公平性や透明性が担保できない状態となっている。こうした状況を是正するためにも、統一した判断指針等を策定することが望まれる。」と指摘しています。