行政訴訟(抗告訴訟)と議会の議決

1.地方公共団体が行政事件訴訟(抗告訴訟)で被告となった場合に議決が必要か

行政事件訴訟(抗告訴訟)で被告となった場合の対応について整理してみましょう。抗告訴訟(普通地方公共団体の行政庁の処分又は裁決に係る当該普通地方公共団体を被告とする抗告訴訟)の場合、議決が不要であるというふうに地方自治法の明文で定められています。

2.地方公共団体が行政事件訴訟(抗告訴訟)で被告となった場合の対応の例

Y市長が、株式会社X社に対する行政処分(営業停止命令)を行った。

*****第一審*****

株式会社X社は、Y市を被告とし(行政庁はY市長)、東京地方裁判所に、行政事件訴訟(取消訴訟)を提起した(行政事件訴訟法第11条第1項で、被告となるのは、「当該処分をした行政庁の所属する国又は公共団体」とされています)。
【この段階で議決が不要なのは、そもそも応訴事件だからです。行政事件かどうかに関係なく、応訴事件は、全件で議決が要らないと覚えておくのが一番分かりやすいと思います。】


*****控訴審*****

東京地方裁判所は、株式会社X社の勝訴(営業停止の取消を命じるもの)となった。
これにつき、Y市は東京高等裁判所控訴を行うこととした。
【この段階で議決が不要なのは、地方自治法第96条第1項第12号の括弧書きの示すとおりで、最高裁H23.7.27判決の指し示すところです】


*****上告審*****

東京高等裁判所は、第一審の判断が妥当であるとした。
これにつき、Y市は最高裁裁判所「上告の提起」と「上告受理の申立て」(「上告状兼上告受理申立書」の提出)を行うこととした。
【この段階で議決が不要なのは、最高裁H23.7.27判決の指し示すところです】